我が国では、高齢化の進展により、いつまでも健康でありたいという国民ニーズがさらに高まっている。また、厚生労働省(国立社会保障・人口問題研究所)の予測によれば、2030年には単独世帯が38%に達するとされ、「孤食化」の進行により、今後、食による健康管理が疎かになるおそれがある。
食生活の乱れ(栄養バランスの偏り等)は、若年女性の痩せや壮齢・老齢期における生活習慣病の増加をもたらし、社会全体の労働生産性の低下や医療費のさらなる増大を招く深刻な課題である。

研究開発の目的
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2030年には単独世帯が38%に達し、「孤食化」が進行
しかしながら、現行の食ヘルスケア・サービスは、個別の商品や農産物の販売促進を目的とした健康効能(エビデンス)の取得支援に止まっており、個々人の日常生活や食習慣に起因する問題に対し、気づきを与え、それに対して有効な対応策を提示するまでには至っていないため、食生活の改善に向けた個々人の主体的な取組を引き出すことができていない。
食によるWell-beingが実感できる社会の実現
こうした課題に対応するため、政府が推進するデジタル田園都市健康特区や健康経営優良認定法人制度等では、個々人の健康診断情報(PHR)等を活用した健康サービスを強化する動きが広がりつつあり、今後、食分野にもそのすそ野が広がる見通しである。また、欧米では、疾病予防を目的とした健康食に関する研究開発が強化されつつあり、米国ではアルツハイマー病予防を目的としたMIND食の推進や、代替肉(大豆ミート)の市場が拡大し身近な存在となっている。さらに、個々人のバイタルデータ(血液成分、遺伝子情報、腸内細菌状態等)とウェアラブル・デバイスデータ(睡眠、心拍、運動量等)等を統合解析し、個々人の健康状態に応じた運動・睡眠やサプリメントの摂取等をアドバイスする民間の各種ヘルスケア・サービスの展開も国内外で広がっている。 そこで、本課題では、食によるWell-being(肉体的・精神的・社会的な充足)が実感できる社会の実現を目指し、若者等をターゲットとして日常の食生活に気づきを与え、個々人の体調、嗜好、習慣等に応じた最適な食事メニュー等を設計するシステムを構築する。また、当該システムの公開により、様々なサービサーを育成するとともに、余暇、美容、エンターテイメント等の異分野サービスとの融合を通じ、食によるWell-beingが実感できる社会の実現を目指す。
